IPv4アドレスの表現方法
IPv4アドレスの表現と呼び方
IPv4アドレスは、32個のビット(0または1で表す数字)で構成されています。
0と1で表された数字は[2進数]と言い、コンピュータの内部で使用される数字です。
コンピュータの内部では、スイッチのOFF(0)とON(1)の組み合わせで計算をします。
そのため、IPv4アドレスも 0と1の組み合わせを使っています。
しかし、人間にとってこの表現方法は分かりにくいため、扱いやすくするために
8ビットずつドット(.)で区切り、区切った8ビットを[10進数]に変換して表現します。
また、8ビットで区切った4つのかたまり部分を、左から第1、第2、第3、第4オクテットと呼びます。
アドレスクラス
IP(Internet
Protocol)の超概要でも触れましたが、IPはインターネット上の住所のようなものです。
住所というと、下記のようなものをイメージすると思います。
東京都 千代田区
椿1丁目 12番地
これは[東京都 千代田区
椿1丁目]の中に[12番地]が存在していることを意味します。
IPv4アドレスにも同じような考え方があり、32ビットのアドレスを[ネットワーク部]と[ホスト部]
に区切って使用します。
これを先ほど例で言えば、[東京都 千代田区
椿1丁目]がネットワーク部、[12番地]がホスト部にあたります。
ネットワーク部とホスト部の分け方には複数あり、その分け方を[クラス]という単位で区別します。
代表的なクラスは、下記のクラスA、B、C の3つです。
クラスA
2進数で表した場合、先頭のビットが[0]で始まり、10進数では[0~127]の範囲になります。
クラスB
2進数で表した場合、先頭のビットが[10]で始まり、10進数では[128~191]の範囲になります。
クラスC
2進数で表した場合、先頭のビットが[110]で始まり、10進数では[192~223]の範囲になります。
クラスレスアドレッシング
ネットワーク部、ホスト部の大きさは、クラスA、B、Cのそれぞれで決まってしまいます。
各クラスごとに決まったネットワーク部/ホスト部の分け方を[クラスフルアドレッシング]と言います。
しかし、実際にIPv4アドレスを使用すると「ホスト部/ネットワーク部の大きさを、もう少し自由に決めたい」という事が多々あります。
これを可能にする、クラスにとらわれないネットワーク部/ホスト部の分け方を[クラスレスアドレッシング]と言います。
クラスフルアドレッシング の例 (クラスC : ネットワーク部は24ビット)
クラスフルではクラスによってネットワーク部の大きさが固定されるため、クラスCの場合は24ビットに決まってしまいます。
クラスレスアドレッシング の例 (クラスにとらわれず、ネットワーク部/ホスト部を自由に割り当て)
クラスレスではネットワーク部の大きさを自由に変更できます。
クラスレスではネットワーク部の大きさを自由に変更できます。
このクラスレスアドレッシングでネットワーク部/ホスト部の大きさを決定する際に、
[サブネットマスク]というものを使用します。
これについては、[サブネットについて]の項目で説明します。
IPv4アドレスの種類
IPv4アドレスにはホストに割り当てるアドレスの他に、特別なアドレスがあります。
ネットワークアドレス
ネットワークアドレスは、ネットワーク全体を表すのに使われます。
このアドレスは、ホスト用に割り当てることはできません。
ネットワーク内のアドレスのうち、最も小さいアドレスが、ネットワークアドレスです。
具体的なイメージは、[サブネットについて]の項目で説明します。
ブロードキャストアドレス
ブロードキャストアドレスは、文字通りブロードキャストを送信する際に利用するアドレスです。
ネットワーク内のアドレスのうち、最も大きいアドレスが、ブロードキャストアドレスになります。
具体的なイメージは、[サブネットについて]の項目で説明します。
ループバックアドレス
ループバックアドレスは、自分自身を表すアドレスです。
ループバックアドレスの
loopback には[回路の出力をそのまま入力につなぐ] という意味があります。
ループバックアドレスを宛先とした場合、自分を宛て先とするということを意味しています。
127.0.0.0/24 (127.0.0.1 から 127.0.0.255
の範囲)がループバックアドレスですが、
一般には、127.0.0.1
のアドレスが使用されます。
リンクローカルアドレス
リンクローカルアドレスは、同一ネットワーク内でのみ使用可能なアドレスです。
リンクローカルアドレスを使用した場合は、別のネットワークへ行く経路を知っていたとしても、別のネットワークと通信することはできません。
link
は、[伝送路、通信回路]というL2ネットワークの意味を持ちます。また、localには[地域内、区間内]の意味があります。
つまり、[L2ネットワークの内側でのみ利用可能なドレス]ということです。
WindowsのPCには、DHCPサーバからIPアドレスが取得できなかった場合、IPv4のリンクローカルアドレスを自分で作る機能があり、169.254.0.0/16
(169.254.0.0 から 169.254.255.255
の範囲)のアドレスを使います。
マルチキャストアドレス
マルチキャストアドレスは、マルチキャストのデータ配信をする際に使用されるアドレスです。
224.0.0.0/4 (224.0.0.0 から 239.255.255.255
の範囲)のアドレスが使われます。
ここでは詳しく解説していませんが、アドレスクラスはクラスDにあたります。
文書で使用するためのアドレス
文書などでIPアドレスの例を示すとき、実際に使用されているアドレスを記述してしまうことがないように、
以下のアドレスが例として使用するアドレスとして予約されています。
192.0.2.0/24 (192.0.2.0 から 192.0.2.255 の範囲)
192.51.100.0/24 (192.51.100.0 から
192.51.100.255 の範囲)
203.0.113.0/24
(203.0.113.0 から 203.0.113.255 の範囲)